韓国政府は2026年5月29日、政権発足1周年(5月28日)の翌日に3つの労働・民生政策を同時に発表した。雇用労働部は「公共部門非正規労働者処遇改善ガイドライン」と「採用事前審査制運営方案」の改定案を確定し、さらに「雇用上年齢差別禁止および高齢者雇用促進法」施行令の改正案を入法予告した。同じ日に緊急経済本部会議では、구윤철(クー・ユンチョル)経済副総理主宰のもと、農漁民向け免税油の油価連動補助金上限引上げが決議された。
背景 — 「保護から成長へ」の翌日に出された「保護」の柱
5月28日に政府は1周年メッセージとして「保護から成長へ」を打ち出した。だが翌29日に発表された今回の3政策は、成長メッセージで取りこぼされやすい3つの取扱層を同時に整備したものだ。すなわち、公共部門の非正規労働者、中高年の再就職予備軍、そして燃料費高騰に晒される農漁民である。発表のタイミングは偶然ではなく、1周年直後に「保護」と「成長」が別個の部処から並走することを明示する意図的な配置と読み取れる。
第1の柱 — 公共部門非正規労働者の「公正手当」明文化
김영훈(キム・ヨンフン)雇用労働部長官のもとで改定されたガイドラインは、雇用の不安定さを補償する概念として「公正手当」と「適正賃金」を初めて明文化した。2027年からの適用となり、各機関は支給対象と支給方法を内規・予算に反映する義務を負う。やむを得ず非正規で採用する場合でも最低1年の労働契約を保証し、1月1日が休日であることを理由に1月2日から契約を結ぶ慣行も明示的に禁じられた。超短時間労働者に対しても労働時間に比例した公正手当・週休手当を支給するよう義務付けたのは大きな前進である。
採用事前審査制も7年ぶりに大幅改編された。これまで2017年正規職転換ガイドライン上の1段階機関に限られていた審査対象が、自治体出資・出捐機関や子会社など2段階機関まで拡大された。事前審査委員会は5人以上で構成し、外部委員が全体の40%以上でなければならない。審査範囲も「非正規雇用の必要性」だけでなく、1年未満契約の不可避性、超短時間勤務の必要性、公正手当・適正賃金予算の妥当性まで広がる。前年比で非正規が10%以上増加した機関はその理由まで管理対象となり、別途の評価委員会が機関評価に反映する仕組みとなった。
第2の柱 — 再就職支援サービス、1,000人から500人、さらに300人へ
同じ日、雇用労働部は高齢者雇用法施行令の改正案を7月8日まで入法予告した。現行では1,000人以上の事業主に限定されている再就職支援サービス義務事業所が、2026年下半期から500人以上、2029年下半期から300人以上へ段階的に拡大される。これにより、これまで対象外だった中堅・中小企業の中高年労働者が新たに制度の傘の下に入る。離転職頻度が高く支援ニーズも大きい層が初めてターゲットになる点で意義は大きい。
制度設計上の最大の変化は「労働者主導」への転換である。これまで事業主が外部委託で型通りに提供してきたサービスに対して「形骸化している」との批判が長く続いていた。改正案では、労働者自身が職業訓練など希望するサービスを選択した場合、事業主が勤務時間調整・労働時間短縮・休暇付与・費用支援のいずれかを提供すれば義務履行と認められる。권진호(クォン・ジンホ)統合雇用政策局長は「労働者主導型に設計することでサービスの実効性を高める」と説明した。
第3の柱 — 免税油の補助上限を即時引上げ
緊急経済本部会議は同日、農漁民向け免税油の油価連動補助金の支給上限を一括して引き上げた。免税油価格が基準価格を上回った場合に超過分の70%まで補助する仕組みだが、最近の高油価長期化により上限を超えた上昇分は補助されない状態が続いていた。今回の調整で、軽油は138.4ウォン/L→176.2ウォン/L(37.8ウォン上昇)、灯油は143.9ウォン/L→183.2ウォン/L(39.3ウォン上昇)、LPGは154.8ウォン/L→197.1ウォン/L(42.3ウォン上昇)となる。農林畜産食品部、海洋水産部、山林庁が事業指針を改定し、5月29日購入分から即時遡及適用される。本格的な農繁期・盛漁期を直前に控えた措置である。
展望
1周年翌日の3点同時発表は、賃上げや産業育成のような目立つ成長政策の傍らで、非正規労働者・中高年・農漁民という政策の影に置かれがちな層を同じテーブルに乗せた点で示唆に富む。公正手当の実効性は2027年の機関別運用差で試され、再就職支援は500人事業所での「便宜提供」の質次第、燃料補助は油価正常化後の出口設計が課題となる。関連記事:【2026-05-30】韓国・経済活性化パッケージ — セドヤク基金・国民成長ファンド・Uターン制度。
出典: 公共部門非正規労働者「公正手当」ガイドライン改定(政策ブリーフィング) · 再就職支援サービス義務事業所拡大(政策ブリーフィング) · 農漁民免税油補助上限引上げ(政策ブリーフィング)