2026年8月6日、韓国産業通商部(MOTIE)はソウルの貿易保険公社で第16回素材・部品・装備(ソブジャン)競争力強化委員会を開き、新規協力モデル5件の承認、第3期「スーパー乙」企業5社の選定、2026年度素材・部品・装備競争力強化実行計画を審議・議決した。

承認内容
新規承認された協力モデル5件は、次世代ガラスパッケージ基板と1000W級EUVペリクル(エコシステム完成型)、工場カスタム型モビリティプラットフォーム(地域主導型)、車両インフォテインメント用国産SoCおよびエネルギー用超高性能多孔質炭素(一般型)。政府は今後5年間で総額910億ウォン(約6,500万ドル)のR&D資金に加え、化学物質認可のファストトラックなど規制特例、政策金融、税制優遇をパッケージで支援する。
第3期「スーパー乙」企業には、韓華オーシャン(潜水艦用燃料電池コア装備)、ソニックシステム(AIベースOLED自律蒸着装備)、イーオーテクニクス(超高速レーザー熱処理装備)、エコプロBM(全固体電池用硫化物系固体電解質)、斗山エナビリティ電子事業部(衛星通信用低損失材料・アンテナモジュール)の5社が選ばれた。各社は最大200億ウォンの研究開発費を7年以上受け、産業通商部は2030年までに計15社の「スーパー乙」企業を育成する方針だ。
海外比較 — 米中欧の投資規模は圧倒的に大きい
国際比較で見ると、韓国の今回の支援規模は決して大きくない。米国のCHIPS and Science Act(2022年)は半導体分野に500億ドル(製造補助金390億ドル、研究開発110億ドル)を直接配分し、2026年初時点で承認済みの補助金は337億ドル、融資保証は55億ドルに達する(Wikipedia「European Chips Act」項目が引用するBruegel2026年分析による)。EUのChips Act(2023年)は最低420億ユーロの公的投資を目標とし(民間マッチングを含めると最低860億ユーロ)たが、2026年初までに加盟国が実際に承認した国家補助は137.5億ユーロにとどまり、目標との乖離が指摘されている。同分析によると日本の補助金規模は167億ユーロ、台湾も167億ユーロ、中国は持分投資方式で1,352億ユーロという突出した規模になっている。
この政策が日本にとって意味を持つ理由。 韓国のソブジャン協力モデルが対象とするガラス基板・EUVペリクル・全固体電池電解質は、日本企業(信越化学、旭化成、SCREENホールディングスなど)が強みを持つ素材・装備分野と直接競合する。特にEUVペリクルや高性能フォトレジスト関連材料は日本企業の世界シェアが高く、韓国のエコシステム完成型モデルによる国産化推進は、日本の対韓輸出構造や技術優位性に中長期的な影響を与えうる。またラピダスを中心とする日本の半導体復活戦略とも、人材・サプライヤー獲得の面で競合関係が生じる可能性がある。
産業への影響
最も直接的な恩恵を受けるのは選定された5社で、特にエコプロBMは全固体電池用電解質開発で複数年にわたる資金支援を得る。これはサムスンSDI、LGエナジーソリューション、トヨタ、クアンタムスケープなども競う技術領域だ。ただし協力モデルの承認から量産・売上への反映までは通常3~5年かかるため、上場企業の業績への短期的な影響は限定的とみられる。
消費者への影響
今回のR&D支援決定が消費者に即座に影響することはない。ただ中期的には、半導体・電池の主要素材の輸入依存度が下がることで、将来の供給網ショックや輸出規制時における電気自動車や家電など最終製品の価格変動リスクが緩和される可能性がある。年内に予定される第3期ソブジャン特化団地の選定結果が、地域雇用への波及効果を左右する。
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