国際信用格付け会社フィッチ(Fitch)とムーディーズ(Moody’s)は、2026年9月9日と9月3日にそれぞれ発表した報告書で、韓国政府の2027年度予算案について相次いで肯定的な評価を下した(出典:韓国財政経済部(korea.kr)、2026-09-09発表)。フィッチは管理財政収支が2026年の-3.9%から2027年には-0.1%に改善し、国家債務比率も既存予測の51.7%から48.3%に低下すると見込んだ。ムーディーズも財政健全性の確保と将来成長動力の拡充のバランスを肯定的に評価した。ただし両機関とも、この改善がAI・半導体好況に大きく依存している点を共に指摘した。

なぜ日本にとって参考になるのか
日本にとってこの事例は、半導体などの特定産業の好況に牽引された税収増が財政指標を一時的に改善させるパターンとして参考になる。フィッチは、最近の税収増加がAI・半導体好況に依存しているため、半導体業況が正常化した際には財政赤字が段階的に拡大する可能性を明示的に指摘した(出典:korea.kr、2026-09-09)。日本も半導体・自動車など特定産業への税収依存度が高く、同様の財政構造上のリスクを抱えている点で、韓国のケースは比較対象として意味を持つ。
台湾との比較
台湾も比較対象として有用だ。S&Pは2026年4月29日、台湾の国家信用格付けを「A」に維持し、台湾の2025年一般政府財政赤字がGDP比0.8%と、当初予算目標の1.1%より改善したと発表した(出典:S&P Global Ratings、2026-04-29)。台湾も半導体企業の好業績が税収改善の主因であり、韓国・台湾ともに財政健全性が単一の産業サイクルに大きく連動している共通点がある。
産業への影響
韓国の半導体・輸出産業にとって、国際格付け会社による財政貢献の公式な評価は対外信認の面でプラスとなる。一方で、162兆ウォン規模の未来対応基金が半導体以外の成長動力育成に実際に使われるかどうかが、次の業況下降局面での財政耐久力を左右する構造的な課題として残る(出典:korea.kr、2026-09-09)。
消費者への影響
一般国民にとって、安定した国家信用格付けは間接的に国債金利や為替の安定に寄与し得るが、個人向け融資金利の低下に直結するとは限らない。半導体サイクルが下降局面に入った場合、現在改善している財政指標が急速に悪化する可能性があり、その際の福祉・支援予算の防衛力が今後の焦点となる。
出典: 韓国財政経済部(korea.kr)(2026-09-09)・参考資料: Fitch Ratings・korea.kr、S&P韓国AA格付け維持(2026-04-30)・S&P Global、台湾格付け維持(2026-04-29)