韓国中小企業ベンチャー企業部(略称:中企部)は2026年9月3日、韓成淑(ハン・ソンスク)国務総理主宰の第13回国家政策調整会議で「中小企業輸出4大革新戦略」を発表し、2030年までの中小企業輸出目標を従来の1500億ドルから1800億ドルへ、300億ドル引き上げました。(参考: https://www.korea.kr/news/policyNewsView.do?newsId=148971172, 2026-09-03) 根拠として示されたのは、2026年上半期の中小企業輸出額640億ドル(約87兆ウォン)で、半期ベースで過去最高を記録した数字です。(参考: https://www.korea.kr/news/policyNewsView.do?newsId=148971172, 2026-09-03)

戦略の中身
今回の戦略は企業・品目・国・政策制度という4分野で支援方式を再設計するものです。企業側の柱となるのが2つの事業です。「グローバル・スケールアップ500」は有望企業500社を対象に複数年にわたる集中支援を行い、輸出ロードマップの策定を後押しします。「輸出ON 2000」は青年起業家、小商工人、地域企業、そして過去に輸出に失敗した再挑戦企業を含む2000社を新規輸出企業へ転換することを目標としています。(参考: https://www.korea.kr/news/policyNewsView.do?newsId=148971172, 2026-09-03)
新興市場5カ国、それぞれ異なる戦略
今回の戦略は国別支援策として、インド(現地ベンチャーキャピタル・大学と連携した展示・物流拠点)、シンガポール(スタートアップ特化拠点とグローバルベンチャーファンドK-VCC)、ブラジル(現地規制当局との協力強化によるK-ビューティー市場参入支援)、欧州(K-ブランド常設ポップアップストア網)、モンゴル(現地コンビニ流通網の活用)という5カ国を名指ししました。(参考: https://www.korea.kr/news/policyNewsView.do?newsId=148971172, 2026-09-03) なぜこの政策が日本にとって意味があるのか——韓国が特定の市場でまだ圧倒的な橋頭堡を持っていないことを示すと同時に、日本企業や投資家が同じ新興市場への参入モデルを比較検討する際の参考材料になります。特にK-ビューティーとブラジル規制当局協力の組み合わせは、日本の化粧品輸出戦略にも直接参考になり得る事例です。
日本のJETRO事業との比較
日本貿易振興機構(JETRO)は2026年4月、「中堅・中小企業輸出支援エコシステム形成事業費補助金」の公募を開始しました。この事業の特徴は、個社の海外展開のみに裨益する案件を対象外とし、民間の輸出支援事業者2者以上による連携体(コンソーシアム)を組むことを応募資格として明確に求めている点です。(参考: https://www.jetro.go.jp/news/announcement/2026/bbfdd425d0707fc5.html, 2026-04-27) 一方、韓国の「輸出ON 2000」は国内で企業を発掘し海外へ送り出す方式が中心で、支援業者間の連携体構成を必須要件とはしていません。日本が支援エコシステム自体の育成に重点を置くのに対し、韓国は企業セグメント別の個別支援を重視するという違いが見えます。ドイツ連邦経済気候保護省(BMWE)の「Mittelstand Global」も参考になります。世界120カ所以上のドイツ商工会議所(AHK)ネットワークを通じて現地情報とネットワーキングを提供する仕組みで、現地に根を張った組織が企業を迎える構造です。(参考: https://taiwan.ahk.de/en/services/delegations/market-entry-programme, 2026-01-01時点の事業紹介)
産業・消費者への影響
産業面で最も具体的な変化は、輸出バウチャー制度の対象拡大です。従来は海外マーケティング中心でしたが、原副資材の調達(サプライチェーン確保)まで対象に加わりました。(参考: https://www.korea.kr/news/policyNewsView.do?newsId=148971172, 2026-09-03) 中小製造業にとっては実質的な変化ですが、実際の予算配分と申請手続きにどれだけ速く反映されるかは今後の施行細則次第です。消費者にとっては、ファッション・フード・ビューティーデバイスが「Kブランド戦略品目」に指定されたことで、韓国発の中小ブランドが海外で先に認知を得て、国内でもプレミアムポジションを獲得する流れが強まる可能性があります。ただし大企業の流通網に依存する構造が固定化すれば、中小企業自身のブランド力よりチャネル依存度が高まるリスクも指摘されています。
まとめ
過去に輸出に失敗し再挑戦する企業向けの専用トラックは今回初めて明示されたもので、政策の空白地帯だった層への早期の恩恵が期待されます。また、インド・シンガポール・ブラジルへの進出を既に検討している中堅消費財企業にとっても、政府主導の現地拠点整備が進む今のタイミングで参入することが有利に働く可能性があります。
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