出典: 韓国政策ブリーフィング プレスリリース(2026年6月26日)— 科学技術情報通信部

政策概要
韓国科学技術情報通信部(MSIT)は2026年6月26日、中小MVNO(「알뜰폰(アルットゥルポン)」=格安SIM)事業者に対する電波使用料の減免率を現行の50%から90%へ大幅に拡大し、減免期間を3年延長すると発表した。2026年下半期の電波法施行令改正を経て、2027年から適用される予定だ。
電波使用料は通信事業者が国家の有限資源である電波を使用する対価として納付する費用で、1回線あたり四半期2,000ウォン(約220円)が基準。実際の負担額は減免係数を適用して1回線あたり約1,200ウォン(約133円)とされる。90%減免後は約120ウォン(約13円)まで低減される。
背景:韓国MVNO市場の現状と経営危機
韓国のMVNO市場は2025年時点で移動通信市場全体の約17.5%を占め、事実上の1,000万加入者時代を迎えている。大手3社(SKT・KT・LG U+)と比較して約半額の料金水準を提供し、若年層・低所得者層の利用比率が高い。しかし2023年時点で58事業者のうち21社(39.6%)が営業赤字を記録。2025年から小規模事業者の減免率が80%から50%に引き下げられたことで経営環境が急速に悪化しており、今回の政策はMVNO生態系の崩壊を防ぐための緊急措置として位置づけられている。
なぜこの政策が日本にとって意味があるか
日本は2017〜2018年、総務省主導で格安SIM(MVNO)活性化政策を推進し、大手3社(ドコモ・KDDI・ソフトバンク)への競争圧力を通じて家計通信費の引き下げに一定の成果を上げた経緯がある。日本が「競争活性化モデル」を選択したのに対し、韓国は今回の電波使用料減免のような「直接コスト支援モデル」を採用している点が対照的だ。
しかし両国が共通して「MVNOを通信費引き下げの核心レバー」と位置づけている点は同じだ。韓国の今回の政策は、MVNO市場が健全な競争を維持できなくなった場合の救済モデルとして日本の政策立案者にも参考となる。また、韓国通信株(KT・SKT・LG U+)に投資している日本の投資家にとっては、政府のMVNO競争促進方針が大手キャリアの利益率に与える下押し圧力として継続して留意すべき動向だ。
産業・消費者への影響
- 中小MVNO事業者:コスト負担軽減により低価格プランの投入余力が回復。赤字事業者の経営継続を支援。
- 大手3社:MVNO競争激化により5G低価格プランの値下げ圧力が高まる見通し。政府は現在3万ウォン台後半の5G低廉プランを2〜3万ウォン台に引き下げる方針も検討中。
- 消費者:直接の料金引き下げではないが、事業者の原価余力拡大により低価格プラン選択肢の増加が期待される。「データ安心オプション(QoS)」のMVNO適用拡大も実施予定。
- 今後の展開:2026年8月以前に家計通信費総合対策が発表予定。
出典
- 韓国科学技術情報通信部 プレスリリース(2026年6月26日)
- デジタルデイリー — 政府、MVNO電波使用料減免90%に拡大(2026年6月26日)
- デジタルデイリー — 政府介入を選んだ韓国、競争活性化を選んだ日本(2018年)
Source: https://www.korea.kr/briefing/pressReleaseView.do?newsId=156768305&call_from=rsslink